第4回、[パソコン・ゲーム・ネット回想]HP-95LX/100LX/200LXとDOS/CとDOS/V

2020/05/30

パソコン・ゲーム・ネット回想

(このブログは記憶を頼りにしており、内容に間違いがある可能性があります)

いまだ色あせてないと思う、HP 200LX + DOS/V

あの頃は楽しかった~!とか言うと中年っぽいので、あまり昔話に花を咲かせたいとはおもわないが、メーカーの想定外の使い方がパソコン通信であまりにも広がったため、半オフィシャルになったともいえるのがnの日本語化だ。日本語化された200LXともよべるかもしれない(まぁ、正直どっちでもいいだろうけど)。

200LX/100LXの仕様のおさらい

どんな機械だったか。あまりググらないのがこの「回想」の立ち位置だし、実機をいまだにもっているので、それで確認すればイイ話なのだが、めんどくさくて、ちょっとググった。ググらなくても覚えていたのは、
  • CPUは8086相当のカスタムCPU
  • ビデオチップはCGA (640x200ドット)相当
  • バックライトなしの白黒モニター
  • いわゆるIBM-PC XT互換
  • メモリは、1MBもしくは2MB仕様。200LXの後期モデルに4MBモデルがあったと思う。
  • インタフェースは、PCMCIA Type2、シリアルポート(専用形状)、赤外線。
  • 乾電池2本駆動
  • レジューム機能あり
  • 疑似タスク切り替えあり
  • PIM(ふ、ふるい表現、Personal Information Managerの略で、電話帳とかメモ書きとかそういうツール)内蔵
  • MS-DOS 5.0をROMで内蔵(DOS/Vではない)
  • Lotus 123(DOSで動く表計算、Excelの先祖みたいなMultiplanという製品の競合製品)内蔵
100LXと200LXはボディの色が少し違うくらいで、中身的にはほぼ同じだったと記憶。価格は、100LXのほうが高かったかもしれない。本体5~6万円程度が当時の価格だったと思う。
英語OSがオリジナルで、英語圏では、PDA的な扱い、当時の言葉でいえば、電子手帳という意味あいが多かった。日本語が使えないので、知る人ぞしるというという製品だった

日本語化の夢をみて現実のモノとした100LX/200LX

DOS/Vの登場でIBM PC互換機で日本語がつかえるような状況になったが、最小スペックは80286 CPU + 2M RAM(1.6Mだったかも。いずれにせよ、20ビットを超えるアドレス空間にメモリがあることが条件)、VGAだったので、200LXでは使えない。が、それを無理矢理つかえるようにするようなプロジェクトが、当時のパソコン通信、ニフティサーブで繰り広げられた。

解決が必要な2つの課題

200LXのMS-DOSで日本語を扱うには、DOS/Vの仕様から逆算すると2つの課題があった。
1つ目は、フォントイメージをどこにロードするのか?という問題。DOS/Vではフォントイメージを高速ニアクセスするために、ハードディスクにファイルとして存在するフォントイメージを、起動時にメモリに読み込むことで、ハーディスクへのアクセスが発生せず、高速にフォントデータにアクセスできるようにしていた。200LXの場合、CPUが8086互換ということで、メモリバスは20ビット。いわゆる1Mのメモリ空間しかないので、その中にフォントイメージをロードする空間を確保することはできない。この問題は、200LXのストレージ、実際には、フラッシュメモリをPCMCIAに差してストレージにしていたので、フラッシュメモリ上に配置しているフォントデータに直接アクセスするようにした。PCMCIAのフラッシュメモリは、10年くらい前までは多少つかわれていた、コンパクトフラッシュの大きい版、いまでいえば、SDカードみたいなモノなので、ハードディスクと違いメモリへのアクセスだっため、高速に読み書きできた。
2つめの課題は表示装置。200LXはCGAなので縦方向が200ドットしかない。これでは、16x16のフォントでは、DOSの標準である縦25行での日本語表示はムリ。そこで開発されたのが8x8で構成された日本語フォント。漢字・ひらがな等を8x8でなんとか読める様にデザインしたフォントで、作者の娘さんがフォント名の由来となって「恵梨沙フォント」とと名付けれらていた。このフォントを使う事で、DOS/Vで日本語表示している方法と同じ方法をCGAで実現するためのドライバが開発された。VGAを使ってるからDOS/Vだったのに対し、CGAを使っているからDOS/Cなどと呼ばれてた。ファンクションコール(いまでいうところのAPI)レベルでDOS/VとDOS/Cは互換性を保っていたので、DOS/Vの用のアプリケーションが使えて、かつ、日本語が表示できようになった。

想像していなかった(少なくとも私は)200LX日本語化の展開

高解像度なフォントの利用

ことの発端は、V-Text。V-Textは高解像度を実現していたグラフィックチップを活用するためのDOS/Vの拡張だが、V-Text登場のおかげで、画面の文字数が80x25文字ではななくなり、VZ EditorをはじめとしたDOS/Vアプリケーションは、表示可能な文字数に応じた動作をするようになる。アプリケーションが80x25を想定しなくなったおかげで、200LXで実現のしたのは、縦方向が20文字である必要がなくった。そこで、8x8以外のフォント、たしか、14x14や16x16あたりだったとおもうが、普通に漢字を表示してもムリのないドット数を使ったフォントを、200LXで使うようになった。当然、行数は、25行ではなく、12~14行の表示になるが、DOS/Vのアプリケーション自体が、25行を想定しなくなったおかげて、縦方向の文字数がすくなくても動作するアプリケーションがある程度そろった。文章を書くという点では、VZ EditorとATOKがあれば十分だった。

200LXが最強な理由

レジューム、単三乾電池2本駆動、この組み合わせは、取り出してすぐに文章を書くという点では、最強の組み合わせ。更に、仮名漢字変換はATOK(多分バージョン8)が使える。エディタとしては、いまでも最強と言えると思う。